2010年08月10日

ニュートン算の画期的解法

1 ニュートン算とは

 ニュートン算とは、あのニュートンが考えたという一連の問題であって、社会的にはよく起こる場面の問題です。
 私が、この問題に初めて出会ったのは、大昔の、数学科を諦めて入った法学部の学生の頃です。
 この問題は、一定の速さで物事を処理するが、その処理されるべき対象が時間とともに増加していくという、大変面白い問題です。
 例えば、「窓口が5個あるチケット売り場でチケット販売をします。もちろん、今も一定の顧客が並んでいます。このままの処理をすると6分で処理(顧客全員に売り切ること)ができます。ただ窓口を8個すると、3分で処理できるといいます。もちろん販売中にも新たな顧客が一定のペースで並んでいきます。10個窓口を開くと何分で処理できるでしょう。」というような問題です。
 「牛○頭で一定範囲の牧草を一定時間で食べきる(もちろん、牧草は食べている間も生え続けます)」などという問題も同じです。


2 従来の考え方

 これを、いわゆる進学塾の算数の先生方は、次のように教えます。
 それは、彼らが大好きな「線分図」という方法です。
※以下は、いずれも窓口1個で1分間に処理する量を「1」とします。



 実はこの図が書けるためには、重要な本問の本質について既に気づいていないといけません。それは、まずAの部分が、窓口の数には無関係に同じであること、です。
 何故なら、言ってみればこれはスタート時点での顧客の量であり、それは窓口の数とは関係なく存在した量であるからです。
 これに気づけば、あとはCに注目すれば問題の半分以上が解けました。

 処理した総量の差は、  30−24=6
 処理した時間の差は、  6(分)−3(分)=3(分)
 よって、1分間に増加する顧客の量は、  6÷3(分)=2
ここで、1窓口が1分間に「1」処理するのだから、窓口の一部は増加する顧客を専門に処理すると(組合の仕事だけをする組合専従の労働組合の幹部のようなもの。cf一般の組合員が会社の仕事と組合の仕事の両方をすることと対照的です)と考えると、話はもっと分かりやすくなります。
ここでは、1分間に増加する顧客量は2であるため、増加する顧客を専門に処理する窓口は2個必要ということになります(こうした専門処理する者を決める考え方も進学塾では殆ど教えません)。

<検算>
・窓口5個の場合6分間で処理できるので、
これから増える分専用の窓口         2(個) × 6(分) = 12
  スタート時点の顧客を処理する窓口 (5−2)個… 3(個) × 6(分) = 18
  窓口5個が6分間で処理できる総量            12  + 18  = 30
  
・窓口8個の場合3分間で処理できるので、
これから増える分専用の窓口         2(個) × 3(分) =  6
  スタート時点の顧客を処理する窓口  (8−2)個… 6(個) × 3(分) = 18
  窓口5個が6分間で処理できる総量       6  + 18  = 24

 この検算により、スタート時点の顧客の量は「18」と判明しました。

<計算>
・窓口10個の場合、必要な時間(分)は、
これから増える顧客に対する専用の窓口は2個必要なので、 スタート時点の顧客量「18」を(10−2)つまり1分間で8個の窓口が、専門で処理することになります。
    18 ÷ 8(個) = 2.25(分) 
       答え  2.25分  です。


3 線分図の思考の問題点
 
 線分図は気づいたことを前提とする、言わば後付けの説明的な要素が大変強いのです。窓口の数に関係なくAは不変であること、これに問題文を抽象的に読んだだけで気づいていることを前提にしています。
 普通に考えると,処理した顧客の総量が、窓口の数で異なるだけで違ってくる(上でいうと30と24)だけで、もう分からなくなります。
 何よりも線分図は、言わば仕事が終わった瞬間の状態の図です。ですから、時間の経過によって事態がどう推移したかが全く把握できませんね。
 線分図は、既に出た答えを説明する技術のようです。


4 私独自の解法

 私は以下のようにして、解法を示していました。


<考え方>
 スタート時の顧客の量である縦長の棒の高さ(OA)をゼロにすることが、時々刻々増加していく顧客の量まで含めて、完全にさばき終わること。それまでどれ程時間が必要か、という発想です。
 最初のOAは、スタート時の顧客の量ですから、窓口の数に無関係に一定量ですね。
 
窓口8個では、どんどん顧客が減って3分で処理を終えました(青△AOC)。一方、窓口5個(青赤合体△AOB)では、窓口8個と比べ赤い部分だけ多く顧客が残っています。これは、次々と加わってくる顧客を処理する速さの違いからくるものです。
 窓口5個では、それでも、最初から6分後(窓口8個で処理を終えた時点から3分後)に処理を終えることが出来ました。
因みにこの図だと、窓口8個での終了時には、窓口5個では、CDの棒の高さ部分、3×(5−2)=9(つまりスタート時の半分の顧客)がまだ残っていることもわかりますね(※1)。

つまり、
 青△AOC=窓口8個で処理した顧客の総量=8(個)×3(分)=24
 青赤合体△AOB=窓口5個で処理した顧客の総量=5(個)×6(分)=30
 赤△ACB=窓口5個の場合で、窓口8個の場合より余分にした仕事量。
 →この仕事量の発生の原因は、6(分)−3(分)=3分間だけ余計に顧客が加わったからです。
 1分間に加わる顧客の量=(青赤合体△AOB−青△AOC)÷(窓口5個の場合が窓口8個の場合より余分にかかった時間)
(30−24)÷(6(分)−3(分))=2
 つまり、最低窓口が2個ないと顧客は減っていきません。また、最初の量は、(8−2)×3の計算でも、(5−2)×6の計算でも同じ結果で出てきて、つまりOA=18です。 

 窓口2個の時→△AOBが出来ない(=辺ABが赤線@になってしまう)場合についてですが、たとえ待っている人の顔ぶれは変わっても、スタート時の溜まっている顧客の量は変わりません。
つまり、窓口2個の場合は、赤点線@となり、スタート時点の顧客量を減らすことは出来ません。 
窓口が2個より少なくなると、赤点線Aのように、顧客量は増え続けて収拾不能になります。
 この図なら例えば、スタート時に居た顧客の量も座標で言うと、A(0,18)と目に見えます。ですからアンダーラインの問題文が…
「窓口の発券機が壊れて窓口1個なってしまったとき、○分で、溜まっている顧客は当初の2倍になりました。」と問題文が変わっても簡単に対応できますね。
今までと同じように1分間で処理できる顧客の量¬=1−2=−1(減る) 
−1(減る)とは、つまり1分間に1ずつ増えることですから、もう「18」まで増えるということだから…
○=18分です(※2)。
 
☆ いかがでしょうか。※1※2など、進学塾=線分図の出来合いの説明に比べ、この解法は、時間の経過を図に反映した分、問題を分析しきっていると、自分では自画自賛しているのですが…。


posted by 戸井田 at 17:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記